昨日に引き続き、洋食器の創美藤沢店のお得意様のコレクション。
ご提供いただいた画像からその歴史などをご紹介いたします。
「アンティークマイセン ヘロルト」
Johann Gregorius Horoldt(1696-1775)。
スワンサービスの記事で少し触れましたが「ヘロルトの存在なくしてマイセンなし」。
ベットガーが西洋で初めて磁器焼成に成功し、画家であり化学者であったヘロルトが磁器用絵具と文様を開発したわけです。
1710年にアウグスト王が磁器焼成成功の回状を発布。ヘロルトはその10年後の1720年から1756年までマイセンに在籍しています。抜擢弱冠24歳から。やはり天才です。
ヘロルトのすごいところは絵具の開発とその絵具による絵付け両方に才能を発揮した点。
描きこみたい色彩のイメージがありつつ開発を続けたのではないでしょうか。
マイセンは今でもヘロルトの残した資料をもとに絵具を調合しているそうです。極極秘。
画家兼化学者。それも超一流。ちょっといませんよね。
港湾画、花絵など多岐にわたるモチーフをデザインしましたが、とにかく初めてのことです。
手本はアウグスト王お気に入りの古伊万里。
そして楽園と考えられていた中国を題材にした一連の分類がこちらのヘロルトシノワズリです。
裏管理人もこのブログのプロフィール画像をヘロルトにしていますがこれは洋食器の創美の画像。まちがっても裏管理人所蔵ではありません。
こちらは正真正銘ご購入いただいて大切にされている名品です。
左からティーボール、カップ&ソーサー、ビーカー。いずれも中国人物画と呼ばれるカテゴリーです。
特に左の「色絵金彩中国人物碗」はもっとも有名な作品で収集家にとっては究極のアイテムです。
少し話がそれますが日本や中国からやってきた碗類にはハンドルがありません。彼らもそれにならっていたのでこのようなカップが生まれました。
トルココーヒーや当時贅沢なお茶を手に受けて楽しんでいたそうです。
ティーボールとかコップヒェンとかいいます。
左ビーカー、右テーブルベル。
ひじょうにめずらしい単彩(人物の顔は色絵です)のそろい踏み。
また、こちらの作品はすべて1996年の”ヘロルト生誕300周年”限定作品。
描きこまれた年月とペインターのサイン。
そしてJGH(ヨハン・グレゴリウス・ヘロルト)のイニシャルと年号。
マイセンにしてはめずらしくそれらが器のの裏に記されています。
マイセン絵付けの祖を記念した作品ですのでマイセンの思い入れがひしひしと伝わってくる出来映えです。
裏管理人はおすすめする立場ですがよほどのものがでてこない限りこちらのお得意様にさらにご提案するヘロルト系は思い浮かばないほどのコレクションです。
しいて言えばハウスマーラー(初期マイセン外絵付け)もの、それもゾイター工房の金彩中国人物の作品くらいでしょうか。
ただしもしあったら博物館級(汗)。
お得意様のコレクション(その1)
今日は嬉しいご案内です。
藤沢店の超お得意様からご用命いただいた逸品のお写真をお預かりしました。
アンティークへの造詣の深いお客様で好みもはっきりしてらっしゃいます。
アンティークならマイセン。そしてセーブル。
本格派です。
こちらは最近ご用命いただいたアンティークマイセン。
19世紀末の貼花装飾ベース天使文。逸品です。
希少性その1.天使絵
意外に思われるかもしれませんがマイセンの天使絵はひじょうに希少です。現代ものにはありませんからアンティークで。ってなります。
天使ものは世界中で人気がある上にマイセンの天使絵はもともと寡作(アンティークの天使絵といえばKPM)ですので状態の良い作品と出会うのはよほどの幸運が必要です。
しかも本作は両面天使絵(片面フラワーブーケと組み合わせられることが多いんです)。
希少性その2.サイズ
この時代の作品は大きいものが多く、高さ10cm前後のこのベースの可愛いサイズは魅力。絵付けも貼花装飾も難しくなります。
凝縮された良さ。これに尽きます。
希少性その3.貼花装飾
読んで字のごとく。花びら一枚一枚から手作りされた花や葉でカップや器・置物を装飾することです。
もちろん硬質磁器。収縮しますから窯出し時点での失敗もあるはずです。
わずかな欠けはありましたがコンディションは極上クラス。
18世紀のロココ様式絵画の先達フランス宮廷画家ブーシェの絵を忠実にマイセンのマイスターが磁器絵付けとして表現しきっています。
18世紀の豪奢なフランス宮廷文化から生まれたロココ様式。
ザクセンのマイセンにはただの贅沢と写ったでしょうがドイツの宮廷では憧れもあり人気の的。注文も多かったでしょうがこうなったらもてる職人技を駆使して作るしかありません。
天使、形、装飾。
マイセンのロココ様式集大成作品といっても過言ではありません。
このような逸品をご自宅で鑑賞する、というか一緒に過ごすことができるということはほんとうにすてきな毎日ですね。130年以上の歴史をみてきた作品です。
実は。
まだまだ画像をいただいているのですが、
熱くなって裏管理人の説明が長くなってしまいましたので何回かにわけてご紹介していくことにいたします。
それにしても。
こちらの写真はご本人様がご自宅でお撮りになったそうです。
「うちのサイトのお話」で白状した裏管理人の撮影技術(?)をはるかに超える質の画像です。
いい意味での「こだわり」。大切です。
マイセンフラワー
マイセンフラワー
Blumenmalerei(Flower Painting)
マイセンの花柄っていってもどれくらいの種類があるのか想像するのも怖いくらい。
「洋花」だけとしても同じ品番(デコレーションNo)でのバリエーションも勘定にいれると・・・。
2,000種類? 5,000種類以上?
きっとマイセン自体も把握できていないと思います。
今日は、なかでも一番なじみ深いフラワーのご紹介です。
「二つ花」とか「五つ花」とか聞いたことありますでしょう?
左から「二つ花」「三つ花」「五つ花」です。花の種類がいくつかで数えます。
「一つ花」も「四つ花」っていうのもあります。
「四つ花」以上はカップとソーサーの柄は合わせません。
もうすこしわかりやすい写真。
左から、二つ・五つ・三つ。二つと三つはメインのお花がカップとソーサーでそろっていますが五つは違っていますね。いいんです。それで。
マイセンフラワーとかジャーマンフラワーとかいわれる代表的な花絵付けです。
ややこしいのは「二つ花」や「三つ花」などそれぞれに花の向きや絵付けの場所の違いでさらに別の品番があること。
要注意です。奥深いです。
とにかくソーサーの裏に描きこまれている6桁のデコレーションNo.を確認すれば大丈夫です。
decoNo100110の五つ花の6ピース。全部で三十花。
柿右衛門を写していて「このままじゃいかん」と思ったかどうかわかりませんが、
16世紀の植物園(花の園)ブームをうけて広まりつつあった花を装飾のモチーフにするトレンドをマイセンが採り入れることは自然な流れだったのではないでしょうか(裏管理人推測)。
decoNo060110の三つ花の6ピース。全部で十八花。鬼も十八番茶も出花。
といっても花の種類は膨大です。注文に応えるにもある程度のパターンを決めないと注文するほうも描くほうもたいへん。
そこで賢い人が36種類のメインの花模様(花の種類)を決めて見本表を作ったわけです。
それが今も使われています。もちろん洋食器の創美にもあります。
アネモネ、クロッカス、デイジー、ポピーは3種類・・・。
例外。
五つ花の場合に限りまれにメインの花が36種類にはないピンクの薔薇になっていることがあって、それが入荷したときは積極的におすすめしています(下の写真の右端の花瓶がそうですね)。
36種類といっても添えられる花のアレンジはペインターにまかされていますから完全に同じパターンはまずありえません。
創業当初はオープンワークのディッシュ類や花瓶、大皿など手当たり次第っていう感じでした。
今は1客ずつで楽しむ時代とお話しましたが、こちらはやっぱり最低6ピースで花を楽しむのが正解です。
さまざまな花々が咲き乱れてほんとうにすてきです。
男の裏管理人でもセットのご納品の際には感動しちゃいます。
フラワーのモチーフの関係でなかなかネットショップでアップできないのが残念!!
ワイルドストロベリーの価格
ウェッジウッドのワイルドストロベリー。
不動の人気ナンバーワン。
ブランド洋食器のエントリーシリーズというとらえかたもできますが、本格的なティーサービスにお使いのかたも数多くいらっしゃる点がただの入門編ではないことの証です。
気がつくと在庫が減っている下支えの広い真のポピュラー品ですね。
割引セールの目玉にはならない理由は?
洋食器の創美でも20%OFFが上限です。セット特別価格で頑張っている他社様もありますが全般的には15-20%OFFがふつうです。
単純に人気品だから強気? おっしゃる通り。
みなさんに強気なのではではなくて、どうやっても高いんです。仕入れが。
メーカーの段階で売り手市場なんですね。経済原理の基本です。
こんなに愛らしいお姿ですがまあ発注するときは可愛さあまって憎さ100倍のときも。
でもやっぱり残らないからいい子です。
かててくわえてこのユーロ高。ポンドも追随。
あちらのウェッジウッドさんホクホク。でもこちらのウェッジウッドさんはいくら正規代理店でも日本であることは同じですからけっこうたいへんなはず。
で。よく日本上代(定価です)が上がったりします。
なんか今年もそろそろの予感がします。
そんななかでも人気のワイルドストロベリーはほんとに本国にとっては孝行娘です。
バリエーションも増えます。
そこで。
在庫切れを起こさずに自然に売れていく価格が20%OFFというところでしょうか。
30%OFFだと皆様「嬉し」、私たち「悲し」通り越して「自爆」価格なのです。
ちょっと本日の裏管理人、歯切れ「悪し」。
でも20%OFFがほんとお値打ち価格ということなんですよ。
エインズレイ デイジーチェーン
梅田名品展
今日は応援最終日です。
昨日は懐かしいお得意様のご来店がたくさんあって楽しく接客させていただきました。
今回は値上がり前のフローラダニカが人気です。
そういえば1客限定とかになると思いますがネットショップでも開店一周年記念感謝企画の一環としてアップ予定です。お楽しみに。
梅田店はイタリアンクラシカル家具やペルシャ絨毯も扱っていますが、ご新築中のお得意様にとても素敵なシルクを1枚ご用命いただきました。
関西のお客様は皆様たいへんアットホーム。
ボケありツッコミありで機転の利いた会話が必須です。最後はいつもあったかくて元気もいただく感じです。
て、実は裏管理人はバリバリの関西出身なのでした。そろそろ人生の半分以上が関東在住になりますが。
梅田店の「ヨーロッパ名陶名品展」は7月30日(月)まで。
マイセン・ヘレンド・KPM・アンティーク・フローラダニカ・セーブル・リヤドロ・ウニカート・五人組直筆絵画・バカラ・モーゼルなどなど。
テーブルサービスから陶板・人形・置物・花瓶。ご紹介しきれません。
ご一見の価値ありです。
ネットショップの開店一周年記念感謝企画も大好評ありがとうございます。真夏に向けてエンジン全開でがんばりますのでよろしくお願い申し上げます。
梅田店に出張中
昨日から21日まで梅田店に入店です。
洋食器の創美の業界史上最強企画催事「ヨーロッパ名陶名品展」の応援です。
ということで今日明日は日記風。
実は。
洋食器の創美オフィシャルネットショップも
「真夏の開店一周年記念感謝特価企画7日間限りただし7週間連続しかも週替りメニュー毎週みてね」セール(勝手に長いタイトルに)の今日が第1クール初日です。
一周年企画はほかにも準備中ですので7-8月は要check!!です。
最初に自ら白状しました通り素人集団のスタートで何が起こるか恐ろしくてリニューアルオープン日はな、なんと小売業掟破りの8月14日だったのです。もうすぐ一年。
暖かいご愛顧と厳しく正しいご指摘の連続で感謝感謝です。
気長に内容の濃い情報を発信できるWEBサイトを目指してまいりますので
今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。
ティーフォーツー
ティーフォーツー
Tea for two
そのまんま二人用のティーセットのこと。
イタリアではテアテート。
これめずらしいでしょう。インペロシェイプのイタリアンフルーツ。
カップ&ソーサー2客と小さめのポット・シュガー・クリーマーに全部がのっかるトレーでワンセットっていうのが基本です。
ヘレンドさんがよくパーティートレー(あれもともとモカセット用でモカトレーっていうんですよ)にのっけて演出してます。
ヘレンドのウィンザーの小枝
ヘレンドのシノワズリ。鶉。手描き難易度高。これはモカセット。
デジュネとかも聞きます。フランス語で昼食の意味が二人用の朝食セットに変化したっていいます。
「奥様、旦那様。お目覚めでございますか。」てな感じでベッドに。ってふつう誰も運んできてくれません。
そういえばこれ。
裏管理人が大好きなアウガルテン。ビーダーマイヤーですがこのアイテム、デジュネトレーっていいます。
これにのせるわけですよ。マリアテレジア。きっと。
一人分でもいいわけです。
こちらは洋食器の創美20年の扱いブランド。リンドナーのティーフォーツー。
目の高いお客様にほど人気のドイツはババリア地方の手作りブランドです。特にポットが人気。
ど~ん!!
高級車買えます。泣く子も黙るヘレンドはバラトンフェルドのコーヒーフォーツー。
「洋食器の楽しみ方」でご紹介したように今はご来客のおもてなしにより自分たちで楽しむことがトレンド。
ティータイムにコーヒーブレイク。どなたと楽しみましょう?
マイセン ブルーオーキッド
マイセン ブルーオーキッド
Orchidee auf Ast,kobaltblau decoNo.824001
ブルーオニオンと並ぶマイセンのコバルト下絵付けの代表作。
H.ヴェルナーとL.ツェップナーによる現代マイセンの代表作。
です。
1960年に結成された通称「5人組」についてはあらためてご紹介します。20世紀後半の新しいマイセンを発展させた芸術家5名。
造形担当ツェップナーが睡蓮の花から着想してこの新しいフォルム(グローサーアウスシュニット)を考案し、
絵付け担当ヴェルナーがこの新しい下絵付けパターンをデザインして1977年に発表されました。
すぐにこういうアイテムまでそろえちゃうところが洋食器の創美の大胆なところです(10年位前の写真)。ちなみに右端のゴブレットみたいなアイテム。なんだかわかります?急須の茶漉しのスタンドです。このころほんとの用途わからずに仕入れてたかも・・・。
空間の多い水墨画のような構図はまさしく日本びいきのヴェルナーの真骨頂。
下絵付けでぼかし。
これは技法的にも画期的なことで天才絵師ヴェルナーあってこその定番化といえます。
前の記事でお話したように下絵付けは修正できません。一発勝負。
形のほうも自然の観察からデザインするツェップナー作の現代マイセンを代表するフォルム。
ポットは白鳥のイメージ。
優雅。
スープ皿はボール状で煮物のサービスに使えます。
いかにヴェルナーでもそこまで見越してデザインしたわけではないでしょうが今流行りの洋食器で「和」にぴったり。
ティーカップも柔軟な発想で。
こんなアイテムまで。人気品です。これまた人気のクリストフルのお箸と一緒に撮影してみました。
陶板とか
こんなアイテムも扱ってきました。時計。ゼンマイ。
ブルーオーキッド。
じつはヨーロッパではあまり人気がないとか。現地でもすごく割高で、なんだか開き直ってるっていう感じです。
伝統的なイメージの強いマイセンですが優雅で上品な私たち日本人になじみやすい食器です(価格がなじみにくいですが思い切っちゃう価値あり)。
地震
昨日の地震の被害。
中越地方の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
自然の猛威で一瞬にして「水」すら断たれてしまう現実になにげない日常生活の脆弱さを痛感します。
私どものあつかい品は衣・食・住あってこその贅沢品ですがちょっとしたアクセントでとても豊かな楽しい気分にさせてくれる演出道具でもあると思っています。
洋食器の創美も20年で何度も大きな地震を経験しました。最近では仙台・福岡。NEWSをみて商品全滅を覚悟しましたが破損したのは数点でした。
「地震がきたら割れるから今回は・・・」とよくお伺いしますが食器が割れてしまうくらいの地震があればそれどころではありません。
お住まい自体やお車、生命まで危険にさらされます。被害を最小限にする準備や対策と生活の楽しみを削ることは別のことだと思います。
いずれにいたしましても。
このたびの被災者の方々の今後のご健康と一日でも早い地域の復興、日常生活の復旧を心よりお祈り申し上げます。