オールドノリタケのドラゴン~藤沢店名品展会場より

しばらく名品・希少品が続きます。
洋食器のSohbiはオールドノリタケも扱っています。
里帰り逆輸入アンティーク。
当然ドラゴン文も存在します。
こちらは有名な盛り上げ技法のドラゴン文様のコーヒーカップ&ソーサー。
このタイプは花瓶がお約束で、カップ&ソーサーは珍しい。
オールドノリタケ 盛り上げドラゴン コーヒーカップ&ソーサー Sohbiネットショップ
「盛り上げ」は一陳という口金のの付いたチューブで泥漿を搾り出す技法です。
ケーキにクリームでデコレーションするパテシエさながら。
“MORIAGE”って英語にもなっている技術。
これまたアールデコのラスター彩作品では稀なドラゴン文。
オールドノリタケ アールデコカップ&トレイ Sohbiネットショップ
王水や水銀を用いたこの技法はもちろん今はご法度。
この技法でのドラゴンモチーフは珍しいです。
いずれも当時新進の世界的視野をもったジャパンビジネス最先端企業の作品です。
やはり「ドラゴン」居ましたね。
上:コーヒーカップ&ソーサーは1911年(M44)-1921年(T10)、
下:カップ&トレイは1918年(T7)-1941年(S16)
の作品です。

デコレディ

オールドノリタケのアールデコを代表するカテゴリがこちらのラスター彩(光彩手)を
駆使した作品群。
オールドノリタケ デコレディ  洋食器の創美
デコレディプレート、デコレディアッシュトレイ。
いずれも1920年代の作品です。
独特のいい味出してますでしょ。
大正時代のマルキュー風味(笑)。

オールドノリタケクイズその2

以前にオールドノリタケのおもしろアイテムのクイズを出したことがあります。
正解はヒゲ男爵用カップ&ソーサーでした。
>>オールドノリタケの簡単な歴史とあわせてこちら
第二弾。
先日の梅田店アンティーク展でのケータイ画像からの出題。
こちらです。
オールドノリタケ_1 洋食器の創美
おしゃれな脚がついたふた付きボックス。問題はふたに穴が空いている奥のほう。
もう少し寄ってみましょう。
オールドノリタケ_2 洋食器の創美
ふたはもちろんはずせます。
じつはうらかんもわかりませんでした。
ふた付きのボックスでふたに穴があったら香炉かポプリ入れがお約束…。
それにしては穴に工夫がないなぁと思いつつ、そのようにご説明してしまいました。
あとでひょんなことから判明!
なんと。
Powder Puff Box。
穴はパタパタするボンボリみたいなのに付いている柄が出るところだったのです。
オリジナルにはそのパタパタもあったのかもしれません。
おそるべしオールドノリタケ。
「テンカフン入れとくやつだった」と梅田店メンバーに伝えて「テンカフン!?」と吉本
ズッコケパターン大爆笑を獲得したことをご報告申し上げます(笑)。

オールドノリタケ

Old Noritake
洋食器の創美(Sohbi)の「洋食器」はヨーロッパの工房の洋食器を指しますが、
一般的には洋食をいただくのに使う食器全般のことですね。
今日ご紹介するオールドノリタケはちょっとややこしい?
日本で制作されて初めて海外に輸出された洋食器の里帰り作品です。
元祖和製洋食器とでもいえばいいでしょうか。
日本は欧米からみて磁器に関しては本家でもあるわけですからよけい混乱します。
アンティーク部門として10年くらい前から洋食器の創美でもオールドノリタケを
扱っています。
オールドノリタケ_03  洋食器の創美 オールドノリタケ_01  洋食器の創美 オールドノリタケ_04  洋食器の創美
その多彩なラインアップには驚きを禁じえません。
ニューヨークにNoritakeの母体、森村ブラザースが設立されたのが明治11年(1878年)。
第二次世界大戦勃発までのたった50~60年の間に日本人の感性の豊かさと技術の高さ
が炸裂します。
「ハンドルを付ける技術にもっとも苦労した」というのは有名な話です。
和食器ってハンドルありませんもんね。
「洋食器を作って輸出する」という発想自体がすばらしいではありませんか。
細かい作品紹介や歴史についてはまたいずれご案内いたします。
空襲による工場やデザイン帳などの焼失。出征による職人の離散。
この約半世紀に凝縮された文化的産業は一瞬にして消え去ってしまうわけです。
欧米にも数多くのコレクターがいて文化的価値も見直されています。
日本にも著名な研究者や収集家がいらっしゃって
逆輸入里帰り現象が起こるのも当然です。
オールドノリタケ_05  洋食器の創美 いずれも盛り上げ技法の逸品。
 
 どうです、日本人の感性が生きていますでしょう。
 手作業の極致。
 構図と色合いのバランスにご注目です。
 床の間に・・・。
オールドノリタケ_02  洋食器の創美 エッチングがみごとなティーセット。
 
 (薬品で腐食させるこの技法は現在使われません)
 「金」を渋く表現するためにたいへんな手間をかける
 ところがまたすばらしい。
 太閤さんが喜びそう(笑)。
オークションなどでも見かけるようになりました。
日本製の輸出品ですからバックスタンプの変遷も明確です。
洋食器の創美では「アンティーク展」中心に出品しています。

このカップは??

津田沼店がただいま「クリスタル&アンティーク展」を開催中(8月27日まで)です。
例によって23日の初日と今日は裏管理人応援入店しています。
で。洋食器の創美はオールドノリタケも扱っています。
器用で真面目なジャパンパワーを感じさせる作品が数多くあって驚かされますね。
画像が美しくなくて申し訳ありませんが、面白いカップが入荷していましたのでご案内しましょう。
以前にも何点か入荷していて最初は裏管理人も意味がわからなかったのを覚えています。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうがクイズ。
さて。これなんですが。
オールドノリタケ_01  洋食器の創美
わかりにくいですか?
ヒントその1)アメリカ向けに輸出されたカップです。どんな注文にも応じて試行錯誤しながら作っていました。
ここで分かった方はすごいです。もう少し分かりやすい画像。オールドノリタケ_02  洋食器の創美
拡大してみてください。
ヒントその2)男性用です。 ヒントその3)形がそれを表しています。
ひっぱりすぎですね。といいつつ最後のヒントはこのカップの名前です。「ムスタッシュカップ」(mustache)。。。
そうです。
口ひげのある男性用。ひげが飲み物に触れないように。
ビックリでしょう?どんなリクエストにも応えていたことがよく理解できる一例です。