リンドナー その1.
Lindner (BABARIA GERMANY)
ついに登場。
洋食器の創美の結果的にほぼ完全オリジナルブランド。
リンドナーのご紹介です。
すべて手作りで大量生産できません。
前述のヨーロッパ研修で訪問することもしょっちゅうですが、ほんとうに正直な素朴な方々がコツコツと。っていう窯です。
質素にまっすぐ生きてるなぁ。礼儀正しいなぁ。みな感心しきりです。
他のヨーロッパのビジネスパートナーとはちょっと違います。
リンドナー最上級グレードのカージナルコバルトはハンドペイント。
20年前の創業期からのお付き合い。一瞬だけ定期仕入れがストップしたことがありました。
なにがあったのかって?
う~む。言うべきか言わざるべきか。
「窯が故障。」という連絡があったような・・・。じっと待ちましたね。
職人気質の数少ないブランドです。
シンブル(指貫)の世界では一流人気ブランド。
「マイセンの職人が設立した」とか「シンブル三大メーカーの一つ」って表現しているサイトがあるくらいです。
ウェスティンホテル大阪のプレミアムコーヒーはリンドナーでサービスされます。
「人」が好きな洋食器の創美ですが。
ビジネスが成立しないような製品と付き合うおひとよしではありません。
型押しの凝ったレリーフ。
独特のハンドル。
洋食器の創美の歴史20年間でおそらくもっとも数多くご用命いただいたブランドです。
いろいろな食器をお持ちのお客様にほど好まれるそのクラシックな「洋食器らしさ」が今も受けているんだと思います。
洋食器の創美のオーダーだけでほぼフル回転。
ですので。結果的に洋食器の創美オリジナルブランドとご紹介しました。
旧東ドイツから西ドイツへ。
商売は少し不器用な手作り職人の愛すべきブランドです。
次回。その人気品のご紹介。
色違いで贈り物
洋食器で贈り物。
ペアセット。変形ディッシュ。置物・・・。
昔と違って6客セットってなくなりましたね。
なんどもお話しましたようにご自宅用でも同じのを半ダースそろえることがなくなってきていますから当然といえば当然です。
でも「さすがに一客じゃあ。」ってとこです。で。ペアになります。
そんなときに。
ちょっとひねりをきかせて色違いや柄違いのコンビネーションセットにするとしゃれてます。
喜び倍増。
ミントンのハドンホールとハドンホールブルーで。
エインズレイのエリザベスローズをブルーとピンクで。
もちろんマグカップでも。
ワイルドストロベリーパステルのマグから2色選んで。
カラーのエインズレイはターコイズとピンクの組み合わせが人気です。
マイセンクリスタルのカラードクリスタルも全色の必要ないですね。すてきな組み合わせを考えてあげましょう。
楽しみ方にあわせて贈り物の選び方もご提案も変わっていく好例です。
収納
カップ&ソーサーのコレクション。
増えると置いておくのに気を使いますよね。
ガチャガチャ重ねると傷みそうだし、崩れたら心配だし。
かといって一客一客並べるとスペース使います。
そこで。
裏管理人など洋食器の創美のメンバーがふつうにやっていることをご紹介するととっても喜ばれる場合があります。
ウェッジウッドのリータイプならこんな風。
ハンドルをカップの中へ中へってすると4客ぴったり。
まず、動きません。ソーサーのスペースで4客。
同じように先日撮影したヘレンドのならこんな感じ。
724のティーカップなら6客まで大丈夫。
手前5客。
同じフォルムでないと安定しない場合がありますがだいたいOKです。
ハンドルがカップの中にはいっているので傷まないし、軽くロックしている感じで安定しています。
柄も確認できます。「ウィーンのばら、どこにしまったかしら?」とかも解消です。
ブログでもご紹介しようと思いついて撮影してみました。
参考になりました?
ヘキスト
ヘキスト since1746 ドイツ
マイセン、ウィーン窯(アウガルテン)に次ぐ名窯のご紹介を忘れていました。
1800年を待たずに閉窯。1977年復活。
100人に満たない少人数。完全受注生産で品質の高さを守っています。
ペインターが下書なしのフリーハンドで描くというのは有名な話です。
ロココ様式を色濃く反映したラーツヘルのライン川風景も一応15パターンが決められていますがアレンジはペインター次第です。
どうしてもたたずむ人物を入れたかったんでしょうね。手前にボート。左手に帆船。
こちらのペインターさん水墨画風。
とうとう釣りさせちゃいましたね。いつかはこうなると思ってました。というか期待してました。
どこかに「自由」がみられるのがヘキストの特徴です。
それは一度たりとも王権の及ばない「民窯」だったからなんです。
英国の窯はほとんどが民窯ですが大陸の窯はほとんどが王立だったり王侯の所有だったりなのに。
秘伝・秘技の漏洩防止。制作物への細かい注文。半幽閉状態の厳しい労働環境。
やんなっちゃった職人たくさんいたはずです。
マイセンから脱出して西へ西へ。で。フランクフルトの近くマイン川のほとりに工房作ったんですね。
「おう。ヘキストってぇとこはけっこう俺っちの自由に作れるってえじゃねぇか。ちょっと行ってくらぁ。」てな具合にうわさをききつけて腕のいい職人が集まったわけです(江戸っ子かどうかは別にして)。
「人形だってこういう優しい顔のいきのいいのが作りたかったんでえ。」って言ったかどうか分かりませんが名品中の名品「トルコの楽隊」完成。
台座が草地なのはヘキストの人形の特徴です。
「描いてておもしれえからマルチカラーの風景画も定番化しちゃおうかい。腕が鳴るぜ。」って。
ホフラート。ば~ん。
ひじょうに繊細な技術と感性が必要とされる手描き風景画を定番化するというのはたいへんなことです。たとえ注文があれば、にせよ。
ぜひともひよることなく、少数精鋭。傑作寡作。でいてほしい名窯です。
マイセン 絵付け
パグのヨーロッパ研修旅行より(その2)
前々回にロクロ成形師さんにご登場願いましたが、
今日は麗しのペインターさん。
マイセンには独自の養成付属学校があります。
この前身を作ったのもJGヘロルトの功績です。マイセン磁器製作所直轄校として正式に設立されてから250年近い歴史があります。
ペインターに限らず今現在もマイセンの職人はほとんどがこの養成学校の出身です。
合格率5%。
3年半学び、センスと技術を認められた者だけが製作所に入所できるそうです。しかも入所してひたすら実習を続けること4-5年。
実際の製品を手がけるようになるまで少なくとも8年。
コストかかってます。
こちら下絵付けのペインターさん。
なにしてるか分かります?ブルーオニオンのパターンを写すための紙をカップにくるんでチェックしているんですね。
焼成前なので大きいですね。
ブルーオニオンのパターンで点々と穴が空いたカバー(銀紙みたいなの)をして炭の粉ポンポンと振りかけます。
で。はずすとだいたいの輪郭が現れてそれに沿って描くわけです。
下絵付けは絶対に修正できません。ごまかしききません。
後ろの棚に下絵状態の20cmプレート、見せるために半分施釉した20cmプレート。本焼成後の20cmプレートが置いてありますね。
このへんのことは硬質磁器焼成の記事で確認してみてください。
「ほら。下絵の状態はこんな感じよ。」あんまりパグが熱心に写真撮るのでペインターさんも大サービス。笑顔がステキ。
こちらは上絵付け。
ドラゴン描いてますね。作業場の雰囲気をご覧下さい。
左下に絵筆や絵具を溶くテレピン油。ちなみにロシアのリスの毛の筆が好まれるとか。「あら、あなたその筆なにの毛?」なんて会話が飛び交うのでしょうか。
これも磁器焼成の記事で触れましたが、後ろのセピア色の薔薇が第三焼成でピンクに発色します。
このあとまた金彩ペインターさんが金装飾を施して、もう一回焼いて。複雑な多色使いだとさらに数回焼成して完成。
それと。人形や置物への絵付けは部門が違います。
食器類への絵付け(マーレライ)と人形への絵付け(シュタファージェ)はそれぞれ専門のペインターに分けられています。
今日はアンダーグレイズマーレライ、オーバーグレイズマーレライのお二人のご紹介でした。とか言わないです。
で。工場出るなり、
な、研修です。
パグ
パグ PUG(独でMops)
ここのところ立て続けに登場しているパグ。
洋食器の創美ネットショップのリーダースタッフの愛犬タローがパグ。
で。たまたま連続出場となっていますが、
実はパグ犬はマイセンととっても深い縁があるのです。
マイセンにはパグの置物がけっこう多いのです。
特に18世紀後半。
ドイツは犬多いです。日本と違って完璧な主従関係です。
狩猟民族だからでしょうね。
王侯貴族もきっとそうだったことは想像できます。馬自慢犬自慢。
18世紀のそんななかで宮廷で大流行した愛玩犬がパグだったのです。
勇猛果敢な狩猟犬とは違ってなんともユーモラスで平和なお姿。
「博愛」の象徴でもあったとか。
おりからの東洋趣味。
鼻筋の通ったシェパードよりアジアしてます。この顔。
「ぼくの話題?」
そうなってくれば当然人気出ますから作ります。
ペットのパグちゃんが亡くなって悲しみのあまりマイセンに大金をはたいてそっくりの置物を発注する貴婦人。
なんて。想像力たくましい裏管理人には目に浮かびます。
マイセン2004年限定品パグの100ccモカカップ。各世界限定75客。
2004年限定品のテーマは「シンボル&イメージ」でした。
パグはフリーメイソン思想の「忠誠」と「博愛」の象徴。限定品に採り上げられるほどの存在ということです。
たしかにパグちゃんでしょ。
ネットショップスタッフの愛犬タローがひょんなことから大活躍なのでした。
今度こそマイセンのロクロ
磁器焼成の第一段階「磁土の成型」。
お約束通り、パグが一月のヨーロッパ研修で撮ってきた写真を使ってマイセンのロクロ師の仕事ぶりのご紹介です。
「うちのご主人様ちゃんと撮ってるか心配・・・。」
マイセンは今でも足で蹴るロクロを使っています。
ほんとにどの工程も熟練の手作業です。
「さ~て今日は一発X_Formの17582でも作るか!!」
「足元見てよ。優雅に水面をすすむ白鳥とおんなじだよ。」
「こうやって。簡単そうにみえる?次にはめ込む型の形がよくわかっていないとできなんだよ。厚みも計算してやってるんだから。」
「さ~て。なかなかいい感じ。はずして。っと。」
「おりゃ。第一段階。ビーカーみたい?」
「これからこれから。ちょっと黙ってみててみ。」
右にちらっと見える円柱状の石膏がカップの型で、そこにはめ込むおおもとを作っていたのです。
「こうやって17582の型にはめこんで。と。」
「で。この型用の雄型をはめてグルングルンと。」
「ほら。押しあてて回したからこうなったよ。」
「型からはずしたらカップ本体完成。」
「どや。このあと脚とハンドルつけるんだよ。」
「そういえば、お嬢さんの上司がブログとかで第一焼成で16%前後収縮するとか知ったかぶりしてただろ?」
「うしろの棚に並べてあるからよく見ておきな。けっこう小さくなるだろ。厚みとか均一に成型しないと割れちまうんで新入りなんかにゃできねぇ作業なんだぜ。」(なんだかだんだん言葉遣いが・・・。)
左2つが焼成前。右2つが焼成後。大きさの違いがおわかりでしょう。
最初のカップの形を成型するだけでもこんなにたいへんなんです。
この前には最高のブレンド最高の状態に寝かせた磁土を作る職人も。
分業です。
大島紬などの日本の伝統工芸品と似ていますね。コストかかります。
お高いわけです。
パグが一生懸命撮った手描きの工程の写真もありますから後日続編。
で。工場出るなり。
な、研修です。
マイセン ろくろ師 のつもりが研修旅行の話
以前マイセンを例に硬質磁器焼成についてお話ししました。
画像もあればと思っていたら、すっかり忘れていたヨーロッパ研修のときの写真があったんです。
洋食器の創美では毎年2回成績優秀メンバーがヨーロッパに一週間お勉強に行けるのです。
お勉強、けっこうたいへんです。
名窯の工場見学。お酒の飲み方。ヨーロッパの歴史とのふれあい。お酒の飲み方。美味しい料理の食べ方。お酒の飲み方。お買物のしかた。お酒の飲み方…。
ドイツ・イタリア・フランス・イギリス・スペイン・ポルトガル…。
一回でお勉強するのはだいたい2カ国くらいです。
実際に現場で見てみるといろいろなことが分かってお客様に自信を持ってお伝えできるのでとても有意義な研修です。
日本と違って「石」文化。
そのまんま残っているところがすごいです。
で。
今年の一月にネットショップからパグ(メンバー紹介記事参照)が参加したのでした。
ずっと頑張ってきて激動の半年を支えてくれたことへのボスからのご褒美です。
パグがドレスデンやマイセンに行くというので「ネットでアップする(できないくせに)から写真いっぱい撮ってくるように」って指示したのは裏管理人だったのでした。
「わかりました!! で、パスポートってどこいけばいいんですか。」
パグの命名理由になった愛犬タロー。ご主人様の初海外旅行に死ぬほど心配そう。
またまた大脱線で申し訳ありません。
マイセンの工場見学コースは有名ですね。
パグが撮ってきた写真を使ってご紹介してみましょう。次回に。
開窯から1864年までマイセンの工場となっていたアルブレヒト城。
パグにしてはよく撮れてます。
スープ皿
スーププレート
ここ10年くらいで一番売れなくなったアイテムってスーププレートではないでしょうか。
以前ご紹介しましたように創業20年前から数年はディナー皿・スープ皿もご一緒にってふつうでした。
ですからどのメーカーのどのシリーズもだいたい在庫がありました。
まさに正しくヨーロッパ文化をお伝えしていたわけです。
「洋食器は重ねて使うのが基本ですので…。」
こんなふうに。
あの頃のウェッジウッドはランチョン皿といって23cmプレートもきっちりラインアップされていて3枚重ね!!を嬉々としてご提案したりしました。
このインディアの写真でいうとスープとディナーの間にもう1枚。
27cmをミート皿、23cmをフィッシュ皿とか言ったりしてました。
ロイヤルコペンハーゲンのスープ皿なんかはもう右から左って感じ。
コペンさんのは深くてしっかりしていて深皿っていうイメージ。
今よりもっと高かったです。
「和洋中使えます。」肉じゃがOK。
このへんのトークは裏管理人進歩していません(汗)。
まあ確かに。
ふだんのご自宅でまずスープが出てって、ふつうないです。
ファミレスでもスープ付きメニュー減りました(例えが極端すぎ)。
正直に自白すると「平ったいお皿ばっかりじゃ不便ですよ」でした。
感覚で。
でも「使う」って考えたらほんとそうでしょう?
命名でだまされちゃうんですよね。「スープ皿」。
ですから逆に。
「オートミール」「シリアルボール」「サラダソーサー」ってのでスープ飲んだっていいわけです。
涼しげなフッチェンロイターのエステール。これはちょっとスープ厳しい。
ロイヤルコペンハーゲンのボール574。コンソメとか冷製スープOK。朝ヨーグルト。
食生活も「パスタ」系(だいたい創業期にパスタってあんまり言ってなかったと思います)が増えてリムのないパスタボールとかのほうが人気です。
ミントンのハドンホールセレブレーションのパスタボール。
そんななかで爆発的に売れているスープ皿があります。
ベッキオホワイトの23cmスープ皿。浅めです。使えます。次の20cmより圧倒的人気です。パスタ・煮物OK。
20cmは深め。同僚に押され気味。
「深皿」っていうふうに考えてみましょうね。
デミタスカップ
デミタス。
demi(半分)-tasse(ティーカップ)です。
食後の濃い目のコーヒー用ですね。
でも。
洋食器の創美が扱っているヨーロッパのブランドで「デミタス」って表現している例はありません。
コーヒーカップ&ソーサーの「Sサイズ」とか「エスプレッソ」とか「モカ」とかになります。
容量60cc~100ccってとこでしょうか。
一客一客コレクションしている方が多いです。
「100客超えたわ。」とかよくお伺いします。
製造中止になってしまったウェッジウッドのコーヌコピアのボンド。
小さい分、良さも凝縮されます。
冷めないようにカップは温めてから使いましょう。
エスプレッソ発祥の国イタリア。
そもそもエスプレッソってイタリア語で「急行」。蒸気で短時間で抽出するからでしょうね。
で。
やっぱり小さなコーヒーカップはジノリがお似合い。
ボンジョルノ。業務用で開発されたフォルム。上が広がっていますが分厚いので冷めません。
ハンドルつまんでシューって音たてて一気に飲むマーロンブランド。
裏管理人世代は「ゴッドファーザー」のイメージ。
ヘレンドでは背の低い711と背の高い709が有名。
マイセンはモカカップって呼び名です。
コーヒー発祥の国エチオピアのモカからそうなったのでしょうか。
そういえば「モカ」ってコーヒー豆を積んだ港の名前なんですよ。
マイセンの硬質磁器発明のきっかけは有田焼。伊万里と呼ばれていましたが、それは伊万里港から船積みされたから。
なんだかこの共通点が面白い。
名手ツェップナー考案のグローサーアウスシュニットのモカカップ。
すごく形のバランスがいいです。
紅茶の国のウェッジウッドにもすてきなデミタスがたくさんラインアップされていますが渋くブラックとホワイトなんかいかがでしょう。
上はローレルのコーヒーカップ下はネイチャー。
裏管理人の偏見かもしれませんが、
デミタスって男性のイメージ。
花柄とかではなくて、渋い感じが似合うと思うのです。
とかいいつつ最後にこれ。
イチオシです。
マイセンの新進デザイナー、グートルン・ガウベ考案のドリーム。
2005年のハウスメッセで発表されたこの6客だけのラインアップ。
少し大きめの100cc。
パターンがしゃれています。
これでコーヒー飲んでるのが似合う男性ってかっこいいですよ。
ぜったい。
裏管理人?
せいぜいおすすめするのがお似合いです。