「パグのヨーロッパ研修わけわからずに写真撮りまくり」 その3
国立マイセン磁器製作所内でのデモンストレーションからロクロ師と絵師の作業をご説明しました。
付属のマイセン博物館でもパグの撮影は大活躍だったようです。
禁断のツビンガー宮殿での撮影の証拠まで発覚(いずれ紹介するかも)。
パグがいかなるものであるかを分かって撮ったかどうかは不明ですが裏管理人も実物をみたことのないこれが写っていました。
じゃ~ん。
ただのパイプオルガン?
実はパイプがマイセン磁器でできていて、もちろん演奏できます。
マイセン磁器によるパイプオルガン制作はアウグスト王の熱烈なる望みだったそうです。
フランス宮廷文化への対抗意識もあったのではないかと思います。
その悲願を何回かご紹介したLツェップナーが2001年に実現したのでした。
通算納期約300年!!
アウグスト王、草葉の陰で涙して喜んだことでしょう。
裏管理人が訪れたときはなかったです。ずいぶん前でしたから。
で。2007年3月。こちらのほうがご存知の方多いでしょう。
「ららぽーと横浜」の「マイセンの孔雀」 。
マイセン磁器でできてます。
だれのアイデアなんでしょうね。アウグスト王?
つくづく日本てすごいなぁ、と思います。
裏管理人的にはもっと歴史ある荘厳な由緒ある建造物に設置して欲しかったです。
勝手な言い分ですが。
マイセン 絵付け
パグのヨーロッパ研修旅行より(その2)
前々回にロクロ成形師さんにご登場願いましたが、
今日は麗しのペインターさん。
マイセンには独自の養成付属学校があります。
この前身を作ったのもJGヘロルトの功績です。マイセン磁器製作所直轄校として正式に設立されてから250年近い歴史があります。
ペインターに限らず今現在もマイセンの職人はほとんどがこの養成学校の出身です。
合格率5%。
3年半学び、センスと技術を認められた者だけが製作所に入所できるそうです。しかも入所してひたすら実習を続けること4-5年。
実際の製品を手がけるようになるまで少なくとも8年。
コストかかってます。
こちら下絵付けのペインターさん。
なにしてるか分かります?ブルーオニオンのパターンを写すための紙をカップにくるんでチェックしているんですね。
焼成前なので大きいですね。
ブルーオニオンのパターンで点々と穴が空いたカバー(銀紙みたいなの)をして炭の粉ポンポンと振りかけます。
で。はずすとだいたいの輪郭が現れてそれに沿って描くわけです。
下絵付けは絶対に修正できません。ごまかしききません。
後ろの棚に下絵状態の20cmプレート、見せるために半分施釉した20cmプレート。本焼成後の20cmプレートが置いてありますね。
このへんのことは硬質磁器焼成の記事で確認してみてください。
「ほら。下絵の状態はこんな感じよ。」あんまりパグが熱心に写真撮るのでペインターさんも大サービス。笑顔がステキ。
こちらは上絵付け。
ドラゴン描いてますね。作業場の雰囲気をご覧下さい。
左下に絵筆や絵具を溶くテレピン油。ちなみにロシアのリスの毛の筆が好まれるとか。「あら、あなたその筆なにの毛?」なんて会話が飛び交うのでしょうか。
これも磁器焼成の記事で触れましたが、後ろのセピア色の薔薇が第三焼成でピンクに発色します。
このあとまた金彩ペインターさんが金装飾を施して、もう一回焼いて。複雑な多色使いだとさらに数回焼成して完成。
それと。人形や置物への絵付けは部門が違います。
食器類への絵付け(マーレライ)と人形への絵付け(シュタファージェ)はそれぞれ専門のペインターに分けられています。
今日はアンダーグレイズマーレライ、オーバーグレイズマーレライのお二人のご紹介でした。とか言わないです。
で。工場出るなり、
な、研修です。
今度こそマイセンのロクロ
磁器焼成の第一段階「磁土の成型」。
お約束通り、パグが一月のヨーロッパ研修で撮ってきた写真を使ってマイセンのロクロ師の仕事ぶりのご紹介です。
「うちのご主人様ちゃんと撮ってるか心配・・・。」
マイセンは今でも足で蹴るロクロを使っています。
ほんとにどの工程も熟練の手作業です。
「さ~て今日は一発X_Formの17582でも作るか!!」
「足元見てよ。優雅に水面をすすむ白鳥とおんなじだよ。」
「こうやって。簡単そうにみえる?次にはめ込む型の形がよくわかっていないとできなんだよ。厚みも計算してやってるんだから。」
「さ~て。なかなかいい感じ。はずして。っと。」
「おりゃ。第一段階。ビーカーみたい?」
「これからこれから。ちょっと黙ってみててみ。」
右にちらっと見える円柱状の石膏がカップの型で、そこにはめ込むおおもとを作っていたのです。
「こうやって17582の型にはめこんで。と。」
「で。この型用の雄型をはめてグルングルンと。」
「ほら。押しあてて回したからこうなったよ。」
「型からはずしたらカップ本体完成。」
「どや。このあと脚とハンドルつけるんだよ。」
「そういえば、お嬢さんの上司がブログとかで第一焼成で16%前後収縮するとか知ったかぶりしてただろ?」
「うしろの棚に並べてあるからよく見ておきな。けっこう小さくなるだろ。厚みとか均一に成型しないと割れちまうんで新入りなんかにゃできねぇ作業なんだぜ。」(なんだかだんだん言葉遣いが・・・。)
左2つが焼成前。右2つが焼成後。大きさの違いがおわかりでしょう。
最初のカップの形を成型するだけでもこんなにたいへんなんです。
この前には最高のブレンド最高の状態に寝かせた磁土を作る職人も。
分業です。
大島紬などの日本の伝統工芸品と似ていますね。コストかかります。
お高いわけです。
パグが一生懸命撮った手描きの工程の写真もありますから後日続編。
で。工場出るなり。
な、研修です。
マイセン ろくろ師 のつもりが研修旅行の話
以前マイセンを例に硬質磁器焼成についてお話ししました。
画像もあればと思っていたら、すっかり忘れていたヨーロッパ研修のときの写真があったんです。
洋食器の創美では毎年2回成績優秀メンバーがヨーロッパに一週間お勉強に行けるのです。
お勉強、けっこうたいへんです。
名窯の工場見学。お酒の飲み方。ヨーロッパの歴史とのふれあい。お酒の飲み方。美味しい料理の食べ方。お酒の飲み方。お買物のしかた。お酒の飲み方…。
ドイツ・イタリア・フランス・イギリス・スペイン・ポルトガル…。
一回でお勉強するのはだいたい2カ国くらいです。
実際に現場で見てみるといろいろなことが分かってお客様に自信を持ってお伝えできるのでとても有意義な研修です。
日本と違って「石」文化。
そのまんま残っているところがすごいです。
で。
今年の一月にネットショップからパグ(メンバー紹介記事参照)が参加したのでした。
ずっと頑張ってきて激動の半年を支えてくれたことへのボスからのご褒美です。
パグがドレスデンやマイセンに行くというので「ネットでアップする(できないくせに)から写真いっぱい撮ってくるように」って指示したのは裏管理人だったのでした。
「わかりました!! で、パスポートってどこいけばいいんですか。」
パグの命名理由になった愛犬タロー。ご主人様の初海外旅行に死ぬほど心配そう。
またまた大脱線で申し訳ありません。
マイセンの工場見学コースは有名ですね。
パグが撮ってきた写真を使ってご紹介してみましょう。次回に。
開窯から1864年までマイセンの工場となっていたアルブレヒト城。
パグにしてはよく撮れてます。