朦朧体

先日の休日に同居人と「没後50年 横山大観展」に行ってきました。
次男坊の今シーズン三回目の受験日にもかかわらず(笑)。
横山大観展 国立新美術館初入館。
 乃木坂駅直結でびっくりしました。
 連休明けでけっこうな人出でゆっくり鑑賞する
 雰囲気ではなかったのが残念ですが想像以上
 に迫力ありました。
 とにかく大きいんですね。
 みなあんなふうなんでしょうか。
 美術鑑賞初体験でよくわかりません。
 
 個人的には色絵?より水墨画調の作品に惹か
 れました。
線描を控えた大観独特のぼかし技法を「朦朧体」というそうです。
なかには紙の色の透け具合を巧みに使った表現もみられます。
最初はまったく日本の画壇に認められなくて海外に渡り、評価されて戻ってきた
とのこと。
天才葛飾北斎が海外で最高に有名なことといい、ちょっと寂しいですね。
でですね、ハインツ・ヴェルナーです。
水墨画調のブルーオーキッドも相通ずるものがあります。
「朦朧体」。
Hヴェルナー直筆絵画_01  洋食器の創美 Hヴェルナー直筆絵画_02  洋食器の創美
こちらはマイセン引退後のH.ヴェルナーの直筆絵画です(洋食器の創美大得意♪)。
もちろん画風もタッチも異なりますが洋食器屋のせま~い感覚としては共通性を感じ
ました。
色のついた紙?の地色を活かした画もたくさんあります。
親日家であり日本の芸術に造詣深いH.ヴェルナー若かりし頃、すでに名を馳せていた
大観の画を見たことはじゅうぶんに考えられると思います。
「大観知ってる?」
誰か聞いてみてください。

すてきなマイセンの陶板

先日の津田沼店の「新春マイセン・ヘレンド市」ですてきな陶板がありました
のでご紹介します。
ところで
洋食器の創美が扱ってきたマイセンの陶板(Plaqueプラーク)は何種類くらい
あるでしょう?
想像がつかないので商品登録数を調べてみました(単品管理ですから正確)。
なんと401種類ありました。
今「陶板展」などで実際に各店にあるのは120種類くらいです。
 そんなに数多く見てきて目に留まったのがこちらです。
 じゃ~ん。
マイセン 陶板(plaque) 海  洋食器の創美
 ”Meeresspiegelung”(931358/95m12)。
 直訳すると”海面への反射”。 
 邦名は「海」。なんかそっけない命名ですが
 かえってシンプルでいいかも。
 
 デザイナーはH.ベルナー。
 1991年の発表です。
 かなりな境地に達してからの作品ですね。
 
 陶板本体のサイズは30cm×43cm。
 水平線を上げて海を9割弱にした構図。海面への太陽の反射、煌きを描くことで
 空も表現したかったのでしょうか。
 このように全体をぼかしで表現しきるデザインを定番化することはほんとうにたい
 へんなことです。きっとベルナーもあまり製品化のことまで考えずに考案したので
 はないかと思います。
 アトリエ作品という部門になりますがこれを元デザインにして同様に描くのは相当
 の専属熟練ペインターでなければまず無理です。
 焼成して色調も変化するわけですからね。
以前ご紹介した「ドンキホーテ」も「狩人のほら話」も「真夏の夜の夢」もぜんぶハインツ
・ベルナーのデザインです。
戯画化もメルヘンも写実も天才のなせる技。
それを受け継ぐ伝統。
いいです。

マイセン 狩人のほら話

Meissen Jagerlatein decoNo682110
「狩人のほら話」とか「猟師の自慢話」とか。
下絵付けと上絵付けのことをご説明したときにちらっと登場したシリーズです。
ハインツ・ヴェルナーが1973年に世に問いました。
マイセン 狩人のはら話_01  洋食器の創美
1700年代から「狩猟画」はひとつのジャンルとなっていました。
ヨーロッパの王侯貴族にとって「狩猟」は趣味かつ訓練かつ自然調査かつ犬馬自慢かつ
交流の場でしたから受けが良かったんでしょうね。
狩猟がモチーフになったフィギアも数多く作られていますがどうしても血なまぐさいデザイン
でなかなか好みの分かれるところです。
それを希代の天才デザイナー兼磁器絵付師H.ヴェルナーが考案するとこうなるわけです。
マイセン 狩人のほら話 モカカップ&ソーサー4  洋食器の創美
 個人用アイテムには6種類のモチーフがあって
 こちらは4番のモカカップ&ソーサー(100cc)。
 モカカップ&ソーサーとプレート16cmにモカポット、
 モカシュガー、モカクリーマーだけの超贅沢なシ
 リーズです。
 上の写真でフルラインアップです。
ブルーオーキッドやアラビアンナイトとはハンドルのデザインが違っているのがお分かりで
しょうか。
このデコレーションだけのための形っていうことです。すごいことでしょう。
もうひとつすごいのが絵付け記事でご紹介しましたように
「酸化クロムの緑」による下絵付けと上絵付けに金彩絵付けで描かれる点。
ユニークで秀逸なデザインであるだけでなく超高度絵付け技法が要求されます。
ペインター泣かせの傑作です。
限定シェイプに一点ごとのモチーフに特殊な絵付け技法。
まずまずとんでもなくコストのかかる定番アイテムです。
マイセン プラーク(陶板) 狩人のほら話  洋食器の創美
 特徴的なデコレーションですので陶板や置物に
 用いられることもしばしば。
 空間の使い方が親日家のヴェルナーしてます。
 
 ぶどうを愛するマイセン市民の色でもあるグリーン
 (ヴァインリーフの緑)を活かした作品ですね。
ちっちゃいのに高額なわけがお分かりいただけました?

お正月とマイセン part1

いくつになってもクリスマスはわくわくします。
先日お話しましたが「お正月」はというと。
お正月もいつもと違う楽しさがあります。
毎晩「はよねぇや(関西弁です)。」って言われるのに「まだねたらあかんで。」って言われ
る大晦日がまず新鮮。
そしてお正月は基本的には朝から家族全員がそろうことが一番の良さですね。
‘Little Europe in your life’とか言ってますが裏管理人は24時間ほろ酔いが許される
こたつ・家族親戚・犬・猫・白熱の大貧民がセットになった純和風お正月がいいです。
洋食器の創美では創業のころからコバルト単彩の洋食器で「和」の提案をしています。
みんな結局「純和風」なんです。
ですからこの三連写もずいぶん前のカットです。
マイセン ブルーオニオン 「和」  洋食器の創美  マイセン ブルーオーキッド 「和」  洋食器の創美
マイセン 青い花 「和」  洋食器の創美
 ブルーオニオンとブルーオーキッドと青い花。
 コーヒーカップ&ソーサーとケーキ皿が二組の
 6ピースセットの分解一人用「和」セッティング。
 ソーサーを単独で小皿に。
 カップの単独は花活けや小鉢に。
こういう感じで二人で差しつ差されつのお正月もいいですね。

ドン・キホーテ

Don Quixote
松ちゃんが大好きなドンキホーテは「ドンキー行く?」みたいな呼ばれ方しています。
裏管理人お気に入りの近所の某ホームセンターも先日飲み込まれちゃったようですっかり
様変わりしていました。
ドン・キホーテ・デ・ラマンチャ。
付き人サンチョ・パンサ。
17世紀初めのスペインの有名な小説ですね。
世界中で聖書に次いで出版されている超弩級ベストセラーとは認識不足でした。
「史上最高の文学百選」第1位とか。
マイセンにもドン・キホーテを題材にした陶板があります。
マイセン 陶板 ドンキ・ホーテとサンチョ・パンサ  洋食器の創美
 これは本の挿絵からでしょうか。
 荒野を行くドン・キホーテとサンチョ・パンサ。
 
 貧相な感じと可笑しみが現れていますね。
 間違ってもアウグスト強王にはみえません(笑)。
 写実を交えつつの難しい絵付けです。
 これを現代マイセンの天才P.シュトラングがデザインするとこうなります。
 マイセン 陶板(plaque) ドンキ・ホーテ  洋食器の創美 マイセン 陶板(plaque) サンチョ・パンサ  洋食器の創美 
 ドン:30×18cm、サンチョ:22×18cm
以前ご説明しましたし、よくご存知の方なら
「なんでP.シュトラングが陶板をデザインするんだ」とご指摘になります。ごもっとも。
P.シュトラングはフィギュアなど造形のデザイナーですからね。
この画像ではわかりにくいのですが実はこの陶板はでこぼこと凹凸があって柄の部分
は浮き上がっています。
微妙に立体陶板なんですね。ですからP.シュトラング。
そして絵付けのデザインはH.ヴェルナー大教授様。
そうです。このユーモラスな陶板はシュトラング&ヴェルナーの現代マイセン黄金コンビ
による作品なのです。
注:ご承知かと思いますが「オリジナルデザインが」という意味です。
洋食器の創美はマイセンに限らず陶板は自信あります。
 

マイセンのフルーツ

Meissen Fruchtmalerei(フルーツ文様絵付け)
中国人物画、港湾画、戦闘画がアンティークのマイセン初期三大モチーフと言われて
います。収集家垂涎の的です。
インド文様、柿右衛門文様、鳥獣文様などは憧れだった東洋磁器の模倣から始まった
絵付け部門。
狩猟画、ワトー画、ひとことでは片付けられない花絵付けなどは独自の絵付けの模索と
挑戦の賜物。
それぞれの絵付け部門があってマイスターがいます。
以前お話しましたように人形絵付け(シュタファージュ)と違って食器類の絵付け(マーレライ)
には得意分野による担当制が存在するようです。
そして今日の話題はフルーツ文様。
強いて言えば「果物画」?
マイセン フルーツ210110  洋食器の創美
 手描きの窯では「鳥」や「フルーツ」は写実技法の対象
 としてたいへん難しい部類になっています。
 みずみずしい新鮮なフルーツを磁器に表現することは
 熟練を要する特殊分野というわけです。
 
 ← DecoNo.210110
 このように数種類のフルーツに花を添えたデザインが
 一般的です。
 マイセン フルーツ210290  洋食器の創美
 ←DecoNo.210290(右のコーヒーカップとケーキ皿)
 
 マイセンのフルーツでもっとも高価。
 パーパー(赤紫)の濃淡だけで表現した鱗文様の
 縁取りがまたたいへんな難易度ですが、これはど
 うみても「青海波」パターンの模倣ですよね。
おもしろいのはフルーツに寓意を込めていた点。
「なんとかはなになにの象徴」とかいう。
マイセン フルーツ陶板_1  洋食器の創美 
 りんごは「愛」をぶどうは「青春」をとかいう
 具合です。
 いちいち気にしていると疲れますから見て
 美しければそれでいいですよね。
マイセン フルーツデスクセット限定品  洋食器の創美
 超絶限定品。
 210990のデスクセット。
 インク壷、筆のインク取り?、ペン立て、
 テーブルベル、キャンドルスティック、
 とそれ専用のトレー。しかもフルーツ文様。
 またお値段?
 新宿高野の超特大マスクメロン2個入り
 桐箱付きがやっぱり10ダース以上。

マイセンでクリスマス

マイセン メイプルリーフ
Meissen DecoNo.700291
マイセン メイプルリーフ_3  洋食器の創美
 クリスマスに合わせた洋食器はたくさん
 あります。
 クリスマスツリーやサンタのモチーフで
 ムードを盛り上げます。
 それだけでもとっても贅沢ですが、それを
 マイセンでって考えたときにぴったりなのが
 ← こちら。
波の戯れシェイプに金彩とグリーンのメイプルリーフ。
そんなにクリスマスクリスマスしているわけではありませんがさりげないこだわり。
プレートは和食がまたとても似合うから不思議です。お正月もばっちり。
マイセン メイプルリーフ_2  洋食器の創美 マイセン メイプルリーフ_1  洋食器の創美 左コーヒー、右ティー。
左はコーヒーカップ&ソーサーとプレート22cmです。
色柄だけではなくてちょっと面白いカップ&ソーサーなのお気づきですか。
メイプルリーフは波の戯れシェイプのさざ波レリーフがない28***フォルムなのですが
カップ&ソーサーのソーサーだけがレリーフのある29***フォルムが合わされています。
ティーカップ&ソーサーの写真でおわかりいただけると思います。
ですからティーカップ&ソーサーの品番は長くなって
700291/28623-29613 ってなります。その意味は、
(メイプルリーフ)/(つるつるティーカップ)-(さざ波ティーソーサー)。
ティーカップ&ソーサーはただいま(本記事投稿時点)超特価です。

FF-Malerrei

マイセン FF画法  
Meissen Deco.No.204032
アンティークや限定品ではない現行マイセン(発注可能)でおそらくもっとも高価なカップ&
ソーサーがこちらの204032-10582。
マイセン 204032_2  洋食器の創美
 通称FF(エフエフ)。
 ドイツ語の’das Feinste vom Feinsten’の略。
 「選び抜かれた最上のもの」という意味です。
 英語のfineの最上級ですから「繊細な」の意味
 も含まれています。
 値段ですか?
 ワイルドストロベリーのティーカップが10ダース
 以上買えます。
 
いかに繊細な花絵付けであるか。ぜひ拡大してご覧ください。
虫も描かれますしお好みは分かれるところですがそういうことを超越したすごさがあります。
凝りに凝った金彩装飾だけでも圧倒されます。
何度か触れましたが東洋の写し(インド文様や柿右衛門文様)から脱却するためにも彼ら
なりの花絵付けへの挑戦が始まります。18世紀前半です。
まずは題材として銅版画の植物図鑑が採り入れられました。
そして銅版画としてのタッチまで忠実に表現したわけです。当初は銅版画独特の花の影
まで描き込まれた(影のある花絵付け)そうです。
マイセン 204032_1  洋食器の創美
 初期マイセン、バロック様式の名品です。
 モチーフはこちらのように多種多様。
 今のマイセンで何人のペインターが描けるの
 でしょう?
 究極の「花絵付け」のご紹介でした。

マイセンのフィギュア

マイセンの人形が登場していませんでしたね。
話が長くなるので避けています。
「磁器人形」っていいますが「猿の楽隊」は「人」ではありません。
「フィギュア」(姿かたち)とか小さいと「フィギュリン」とか呼ばれます。
アキバ系のおかげでよく聞く用語になりました。
ありとあらゆるマイセンフィギュアが存在します。
今日はあえてマニアックに限定品マイセンzoo?へようこそ。
マイセン 2005年限定エレファント  洋食器の創美 マイセン2005年限定100体のElephant。900184/78956高さ13cm
18世紀半のJJケンドラーの作品の限定復刻品です。
当時はビデオもカメラももちろんインターネットもありません。
天才ケンドラー。
きっと伝聞をもとに「鼻の長い耳の大きい四足の大きな生き物」を作ったんでしょう。
象を。
お眼目パッチリ。耳が人の耳みたい。後ろ足は忠実に四足動物の特徴を表現(裏目)。
写真ではみえませんが口には人のような歯が並んでいます。
でもちゃんと「象」してます。
翌年の2006年の限定品のなかにはこんなフィギュアが復刻されました。
マイセン 2005年限定サイ  洋食器の創美マイセン2006年限定Rhinoceros。
900184/78958高さ11cm 作者不明。
こちらも18世紀どまんなか。象とちがってかなり正確です。
二年続けて「マスター&リミテッド」のテーマでマイセンが採り上げた初期のフィギュアです。

パゴダ人形

マイセン パゴダ人形 (Pagoda)
「謎の中国人」?
マイセン 2005年限定パゴダ人形  洋食器の創美 こちらは2005年度50点限定(高さ16.5cm)のパゴダ様。
マイセンのパゴダ人形は布袋さんをマイセンなりに解釈した磁器人形です。
このようなお姿になられたのは1730年頃。もうおなじみのJJケンドラー作。
パゴダの原型?と言われる初期のアンティークを見たことがありますがもっとほっそりした高さ8cmくらいの小像でした。
頭のてっぺんに穴が空いた香炉になっていました。
男女ペアで少なくとも4サイズの型番があります。最大のものは高さ32cm。
体は空洞でおもりをつけた振り子の仕組みになっていて前後に首を揺らします。しかも舌を出し入れしながら・・・。
さらに両手を上下に動かします。
張子の虎のようにゆっくりゆっくり動きます。マイセン 2005年限定パゴダ人形_02  洋食器の創美
なんだか誘われているような、からかわれているような。
商売繁盛の神様として古い中国の商家に置かれたっていうことを聞いたこともあります。
招き猫みたいな。ちょっとできすぎのような話です。
でも確かに思わずお店に手招きされて入ってしまいそう。裏管理人催眠状態。
衝撃映像!!をどうぞ!