マイセンの2007年限定品のなかからすてきな花瓶を。
100点限定で発表されました。
823084/50041 VASE
Chrysanthemum pattern,cobalt blue
and gold H:27.5cm lim100
どう発音するのかさっぱりですが
「Chrysanthemum」イコール「菊」です。
見ればわかりますが。
ご紹介したくなったのは下絵付けの青絵による
有田様式の絵柄に惹かれたのが理由です。
相当の腕を要します。
脚の菱文様もあなどれません。
リッチな金彩が全体を引き締めます。
2001年にマイセンが初めてペインターの実名サインを入れて限定ベースを発表した
ときにもほぼ同じのパターンのアイテムがありました(金彩がありませんでしたし下の
部分の装飾が違っていました)がそれだけマイセンで重要視されているパターンとい
うことができます。
磁器文化の一つとして大事にしたい作品です。
府中名品展(3/12-3/16)予告編その4
HARLEKIN(アルルカン)
英語読みでハーレキンとも呼ばれるマイセンの有名な磁器人形があります。
ルネサンス期にイタリアで発祥したコメディア・デラルテ(イタリア喜劇)はもともと
広場や街角で演じられる大衆芸能だったとのことです。
それが18世紀半ばにかけてヨーロッパ中で人気を博して広まりました。
キラキラの派手な衣装と仮面が特徴的で即興の台詞と演技が要求されたとか。
マイセン初期の天才造形師J.J.ケンドラー
が磁器人形にしてみせたのがこちらです。
14-15種類ありますが右のアルルカンが
特に有名です。
高さ23cm/原型デザイン:J.J.ケンドラー
1764年の発表作です。
躍動感溢れる動きがすばらしい。
品番900300/64551で定番化されています。
2006年はJ.J.ケンドラーの生誕300周年でしたので彼の代表作の限定記念品が
数多く発表されました。
画像が無くて残念ですが右の人形の特別彩色限定50体バージョンが府中名品展
に入荷します。ぜひともご一覧下さい。
そういえば先月ご紹介した「ウッツ男爵」が遊んでいる人形はこのイタリアンコメディ
シリーズでしたね。
マイセン 「珠遊びをする少女」
Meissen ’Woman with ball’
ヘンチェル人形を先日ご紹介しましたが、マイセンのユーゲントシュティール
(アールヌーボー)の磁器人形からもう一つ。
とっても有名な女性像です。
「少女」と呼ぶにはあまりに艶めかしいお姿。
W.Schott作
この女性像をデザインしたウォルター・ショットもアー
ルヌーボー期のマイセンの著名なデザイナーです。
1897年のドレスデン展示会に出品されて一躍有名
になりました。
アンティーク市場でも人気アイテム。
薄衣から透ける肌とその質感。
微妙な絵付けによる表現と型が見事にマッチしなけ
ればいい作品にはなりません。
ごくまれにピンクバージョンがあって状態がよければひじょうに高価になります。
上の写真はアンティークです。
そして。2006年限定の「少女」がこちらです。
2006年 ltd100 90a099/73415 H30
Woman with ball,blue garb,coloured with gold
こちらは2006年度限定版です。
名品の100体限定復刻ですがご覧のようにブルーの
衣装です。
この逸品が限定現行品として入手できる機会ってい
うのはまずありません。
何度見ても薄衣と素肌の表現にため息がでます。
復刻メニューに選ばれるほど重要な作品ともいえま
す。
アンティークとして確固たる人気をもつアイテムの復刻限定品。
おすすめです。
府中名品展(3/12~3/16)予告編その2
昨日に続いて
洋食器の創美府中店「ヨーロッパ名陶名品展」(3月12日~3月16日)に出展予定の
名品逸品ご紹介第二弾。
Julius Konrad Hentschel(1872-1907)
ヘンチェル人形ってご存知ですか?
マイセンでひとつのカテゴリーになっている磁器人形です。
マイセン生え抜きの造形彫塑師J.K.ヘンチェルが考案したユーゲントシュティール
(アールヌーボー)様式の子供を主題にした作品群のことです。
こんな作風です。
こちらは2003年マイセンデイズで発表された
各300体限定の特別色。
大きさ(高さ)は左から12cm、8.7cm、16.5cm。
マイセンの他の磁器人形とはずいぶん違う
イメージでしょ?
やさしい癒し派です。
これは入荷しませんのであしからず。
P.ショイリッヒや一度チェスセットでご紹介したM.エッサーなどマイセンにもユーゲント
シュティール(ドイツではアールヌーボーのことをこう呼びます)の芸術家はいましたが
彼らはマイセン以外で名を成してからマイセンに招聘されました。
J.K.ヘンチェルはマイセン付属養成学校からの生粋のマイセン職人です。
誰もが欲しくなる「ミルクを飲む男の子」。
両手でもっているカップはちゃんとブルー
オニオンのパターンが描き込まれています。
このように色彩のやさしい人形絵付けになる
のがお約束です。
どの子も後頭部がなんともいえずそれらしい
ことにいつも感心します。
で。うまくいけば府中店名陶名品展に入る予定のヘンチェルの作品が
こちら。
1999年発表限定19セット(証明書付き)の
ヘンチェル人形4体のデスクセット。
ペン皿とキャンドルスタンドとメモ台にペー
パーウェイトのセットです。
それぞれにかわいい子供の人形がアレンジされています。
まず今後の入手は困難な超希少品です。
世界で19セットってすごい。
特別なマークとシリアルNoも入っています。
「この子だけ」とかはご容赦(限定作品の価値がなくなります)。
4人養えることが前提となります(笑)。
府中名品展予告編その1
洋食器の創美府中店で「ヨーロッパ名陶名品展」を開催します。
3月12日(水)~3月16日(日)の5日間限り。
「ヨーロッパ名陶名品展」はよく応援入店で記事にしていますが今回ばっかりは担当店
でもありますから、申し訳ないくらい連続ご案内となることを宣言しちゃいます。
もちろん主題はちゃ~んと名品逸品の紹介ですからしばらくお付き合いくださいね。
そのかわり、
上記期間中府中店でご購入のお客様で「インターネット(ブログ)見た」とおっしゃっていた
だけば正式なご招待状がなくても特典あり! って今決めました。
極力、期間中にご来店いただければご覧になれるアイテムに絞ってご紹介しますね。
第一弾。
Meissen 205584/50m22
Vase,Flower painting mid19th century,coloured
2005年の世界50点限定制作品です。
もちろんシリアルNo入りで証明書付き。
高さ35cmの大作。
どうですこの壮麗な花絵付け。
パノラマ状に途切れるなく手描きするひじょうに
高々度な技法です。
こちらも拡大画像鑑賞推奨品です。
通称「クレタベース」。
絵付けも超絶ですがこの形がまたすばらしいんです。厚みは2cm近いのではないで
しょうか。
古代ギリシャ時代にぶどう酒と水をまぜるときに使われた器に着想して1865年に
マイセンが作ったクレタベースの原型は高さ60cm近い威容を誇ります。
これでも小さくしたということですね。
迫力ありますよ~。
価格?
迫力ありますよ~。会場で喜んで直接ご相談承ります(笑)。
絵画つながり
My favorite item4でマイセンのV.ブレッチュナイダーのことに触れました。
昨日はペルシャ絨毯絵画のことをご紹介しました。
今日はV.ブレッチュナイダーの直筆絵画を数点ご案内させてください。
水彩ですが色使いなどに「らしさ」があります。
左はマイセンといえばこの眺めの「エルベ川とアルブレヒト城」。
16世紀にマイセン市内に建てられたこの城と聖堂は1710年からJ.F.ベトガーの
仕事場ともなりました。
ヨーロッパで初めて硬質磁器製法を開発したJ.F.ベトガーはそのプレッシャーと
薬品とそれをまぎらわす飲酒が原因でわずか37歳で生涯を終えます。
城内には「ベトガーの間」が今も公開されています。せま~い、くら~い一室です。
そういえば研修旅行の際に尖塔の上の方まで登らせてくれましたが真剣に怖か
った記憶が…。
右は裏管理人にも馴染み深い荒川上流です(嘘)。場所は不明です。
絵画の良し悪しはよくわかりませんが自分が
好きなデザイナーですからなんでもよく見え
ます。
マイセンの一流ペインターともなれば美術大学
で学んだりマイセン付属養成学校で研修したり
した上で研鑽に研鑽を積んでさらに認められて
初めて一人前なわけですから、
あとは個性ですね。
上の「川」風景画二点はV.ブレッチュナイダーが20歳代のときの画ですが、
マイセンの養成学校入学が14歳でしたからもうすでに稀有な絵付師の片鱗
を見せ始めているわけです。
いつのころから花とフルーツを主題にするようになったのでしょうね。
マイセン幻影
Meissen
Der Sammler ’Utz’ 900300/73530
Sammler=収集家。
ウッツ男爵は当時のチェコスロバキア生まれのマイセン磁器の伝説的なコレクター
で実在した人物です。
死後のコレクションの行方を案じて死の直前に自らすべてを壊したといわれますが
2001年に遺族により一部のコレクションが発見され翌年のサザビーズに出品され
たのは洋食器の世界では有名な話です。
小説にも映画にもなった稀有な人物です。
映画は邦名「マイセン幻影」で日本でも公開されたそうですが残念ながら観ていま
せん。
撮影の際にマイセンは1000点以上の作品を貸し出したそうです。
映画に出てくるウッツ男爵。
コレクションのマイセンの磁器人形を手にとって愛しむ
収集家としての至福の場面。
その時間を現代マイセンの天才彫塑師ペーター・シュト
ラングが止めてみせたのがこちらの作品です。
映画化を記念して1992年に発表された高さ36cmの
マイセン磁器人形。
「マイセン磁器人形で遊ぶマイセン収集家のマイセン
磁器人形」
ということになります。
映画でウッツ男爵を演じた役者によく似ているそうです。
定番化されていて発注可能なところがすごいですね。
洋食器の創美にも何度か入荷しました。
ちなみにウッツ男爵が楽しんでいる人形は「イタリア喜劇」(コメディア・デラルテ)
と呼ばれるカテゴリの有名なマイセン人形です。
人がずっと居ることのない玄関や廊下、踊り場なんかにいいと思いませんか。
怖い?
Limited Masterpieces 2005 Meissen
2005年のマイセン限定品のテーマは「マイスターによる限定品」。
独語で’Limitierte Meisterwerke’。
数々の名品が発表されました。
そのうち洋食器の創美が扱ったのは29種類のべ100点弱にのぼります。
もちろんもうほとんど残っていません。
この年はカップ&ソーサーなどのサービスシェイプ系は少なかったんですが
その中で印象に残っているコーヒーカップ&ソーサーが
これです。
212384/55836 ltd100
Cup&saucer,octagonal,Branches of
fruits and flowers eary style,colored,
cartouche with flower mosaic,cobalt
blue
という長~いスペックになっています。
これが洋食器の創美に来ると
「2005年限定フルーツ八角C/S」という
じつにさっぱりした名前になります(笑)。
地色の白で格子状にみせる藍色の文様はなんと下絵付け。
そしてカルトゥーシュの金彩窓飾りのなかに写実のフルーツ。
見事というほかありません。
マイセンでは三十年以上の経験を前提にその技術を上長に認められて初めて
「マイスター」と呼ばれます。
まさしくマイスターの技が冴え渡る逸品です。
ザビーネ・ワックス その2
マイセンのザビーネ・ワックス女史について
「波の戯れ」シェイプの開発リーダーだったこと。
自然観察からの感性豊かなペインターとしての才能にも秀でていること。
など昨日ご紹介しました。
デザイナーの自由度が高いウニカートや限定品の制作にも精力的です。
芸術家としての感性があらわになるわけです。
こんなふうに。
上段はいわゆるウニカート(本人による一点もの)。
右下は2000年限定DecNo70689(限定50セット)。
あふれ出るインスピレーションとそれを表現する技術。
造形と絵付け両部門にわたる才能をもつS.ワックスだからこそなせる
特徴的な作品群です。
昨日ご紹介したある意味素朴な「森の声」との対比が面白いと思います。
ザビーネ・ワックス
Sabine Wachs (b1960)
現代マイセン発展の原動力となったH.ヴェルナー、P.シュトラングら五人組
の後継者を代表する芸術家の一人がS.ワックス女史。
裏管理人のひとつ下です。
造形も絵付けもこなす女性らしい感性豊かなデザイナーです。
ネットショップでも人気のマイセンのエントリーモデルともいえる
「波の戯れホワイト」の形を考案したのは彼女です。
1995年に何十年ぶりかで発表されたマイセンの新しいサービスシェイプでした。
21世紀に向けてマイセンが三年の月日をかけ
て開発した渾身の新サービスシェイプ。
Wellenspiel(波の戯れ)。
このプロジェクトリーダーがS.ワックスでした。
縁の切り込みのような造形が「波」を表現してい
ます。
さざ波のようなレリーフがあるものとないものが
あります。
ちなみにレリーフ(地模様)をデザインしたのはヨルク・ダニエルシェクです。
カップの口径が真円ではなくてちょっとオフセットしているのも特徴的。
そり具合も絶妙。
以前ご紹介したティーポットがまた超おすすめです。
サービスシェイプを開発しつつ、絵付けにも参画。
農家に居を構え自然を愛する彼女らしい
「森の声」は特に日本で大人気です。
DecoNo614501。
じゃっかんくすませた葉の色合いが特徴。
プレート類は6種類ずつのモチーフが用意
されています。
陶板バージョンもすてきでしょう。
感性豊かなS.ワックスを一気にご紹介するつもりでしたがひとまずこのへんで。
明日続編。