どなたにも受け入れられるパターンがいくつかあります。
面白いのは時代や国が変わっても同様のようで似たようなタイプが必ずあります。
「小花散らし」。
勝手にそう呼びますが小さな花を等間隔に散らしたパターンを「嫌い」っていう人はいません。
マイセンの010110(スキャッタードフラワー:花散らし)。
まさしく。
マイセンのなかでもこのパターン系のバリエーションはひじょうに多彩です。
小さな薔薇や忘れな草を散らしたり、金彩を装飾したり、フォルムを変えたり、そりゃもう30種類以上は確実です。
宮廷文化を代表するロココ様式。その反動ともいえる新古典様式。
そして1800年代に入ると王侯貴族独占状態から市民層への移行が始まります。市民層といっても財をなした超リッチな階層ですが。
それに合わせて「家庭」や「平和な日常生活」を重視したパターンが生まれます。
「ビーダーマイヤー様式」の登場です。
その代表がこの「小花散らし」です。多くの人に好まれるはずです。
アウガルテンのその名もずばりビーダーマイヤー。
マイセンそっくりさん。フッチェンロイターのミラベル。
ヘレンドにもミルフルールがありますね。「千の花」ていう意味の命名もすてきです。
リンドナーのベルサイユ。
ベルサイユが面白いのはビーダーマイヤー様式の大人しいパターンをレリーフが豪華なロココ様式のフォルムに表現したところですね。
金彩装飾も施されて独自の良さを放っています。
「上品で大人しいのもいいけどちょっと冒険」っていう感じです。
美術様式っておおげさなイメージですが創美が扱う洋食器はせいぜいバロックくらいからです。
追っかけると納得できることが多いです。