ヘキスト since1746 ドイツ
マイセン、ウィーン窯(アウガルテン)に次ぐ名窯のご紹介を忘れていました。
1800年を待たずに閉窯。1977年復活。
100人に満たない少人数。完全受注生産で品質の高さを守っています。
ペインターが下書なしのフリーハンドで描くというのは有名な話です。
ロココ様式を色濃く反映したラーツヘルのライン川風景も一応15パターンが決められていますがアレンジはペインター次第です。
どうしてもたたずむ人物を入れたかったんでしょうね。手前にボート。左手に帆船。
こちらのペインターさん水墨画風。
とうとう釣りさせちゃいましたね。いつかはこうなると思ってました。というか期待してました。
どこかに「自由」がみられるのがヘキストの特徴です。
それは一度たりとも王権の及ばない「民窯」だったからなんです。
英国の窯はほとんどが民窯ですが大陸の窯はほとんどが王立だったり王侯の所有だったりなのに。
秘伝・秘技の漏洩防止。制作物への細かい注文。半幽閉状態の厳しい労働環境。
やんなっちゃった職人たくさんいたはずです。
マイセンから脱出して西へ西へ。で。フランクフルトの近くマイン川のほとりに工房作ったんですね。
「おう。ヘキストってぇとこはけっこう俺っちの自由に作れるってえじゃねぇか。ちょっと行ってくらぁ。」てな具合にうわさをききつけて腕のいい職人が集まったわけです(江戸っ子かどうかは別にして)。
「人形だってこういう優しい顔のいきのいいのが作りたかったんでえ。」って言ったかどうか分かりませんが名品中の名品「トルコの楽隊」完成。
台座が草地なのはヘキストの人形の特徴です。
「描いてておもしれえからマルチカラーの風景画も定番化しちゃおうかい。腕が鳴るぜ。」って。
ホフラート。ば~ん。
ひじょうに繊細な技術と感性が必要とされる手描き風景画を定番化するというのはたいへんなことです。たとえ注文があれば、にせよ。
ぜひともひよることなく、少数精鋭。傑作寡作。でいてほしい名窯です。